住宅の構造へのこだわり基礎講座 ②基礎

2024/12/26

こんにちは、木場本圭司です。

普段は住宅の構造、断熱、気密など、性能に係る部分の設計を担当しております。

このブログでは、当社せこ住研の建てる住宅の構造についてのシリーズとして解説していこうと思いますので、これから家づくりを進めていきたい方にぜひ参考にしていただきたいです。

それでは前回の①「柱と梁」編に続いて、②「基礎」編です。

家づくりに欠かせない重要なポイントの一つが「基礎」です。基礎がしっかりしていなければ、どんなに優れた構造材を使っていても安心して暮らせる家にはなりません。今回は、せこ住研が採用している「一体成型ベタ基礎」について、そのメリットや一般的な工法との違いを詳しくご紹介します。

家づくりにおける基礎の役割とは?

基礎は家づくりにおいて、建物が受ける荷重を地盤へと均等に伝え、家全体を安定して支える役割を担っています。地震や台風などによる揺れや強風にも耐えられるよう、基礎の強度と施工の確実性は住まいの安全性を左右する最重要ポイントです。

また、基礎が地面と直接触れる部分を適切に防水・防湿処理しておくことで、床下の湿気やシロアリなどの被害から建物を守る効果も期待できます。

基礎の種類

一般的な住宅に採用される基礎としては、主に以下のような種類があります。

1.布基礎(立ち上がり基礎)
建物の外周部と内部の主要な壁の下にコンクリートの“立ち上がり”を設置する工法です。縦横に走る布(帯)のように見えることから「布基礎」と呼ばれます。比較的少量のコンクリートで済むため、コスト面では優位ですが、地盤が弱い場所では十分な強度が得られない場合があります。

2.ベタ基礎
文字通り、建物の下全体に“べた”っとコンクリートを打設し、その上に立ち上がり部分を設置する工法です。建物の荷重を面で受け止めるため、地盤への圧力が分散されやすく、不同沈下(ふどうちんか)のリスクが抑えられます。また、床下全体がコンクリートで覆われることから、湿気やシロアリ侵入に対する予防効果が期待できます。

3.独立基礎
建物の柱や主要な荷重がかかるポイントにだけ、独立してコンクリートを打設する基礎です。倉庫や小規模な建物などで採用されることがあり、柱の下だけが独立して支えられます。荷重が集中するため、設計や施工がシビアになります。

4.杭基礎(くいきそ)
地盤が極端に弱い場合に、地中深くまで杭を打ち込んで建物を支える工法です。高層ビルや大規模施設などに多く用いられますが、地盤の状況次第では戸建て住宅でも採用されることがあります。

ベタ基礎の中でも強度の高い「一体成型ベタ基礎」とは?

「一体成型ベタ基礎」とは、土間床部分と立上り部分を一度にコンクリートで打設する工法のことを指します。

通常のベタ基礎の場合は、最初に土間床部分へコンクリートを流し込み、固まった後に立上り部分の型枠を組んで別工程でコンクリートを流し込みます。注意して施工しないと隙間が発生してしまう可能性があるのですが、このほんの少しの隙間からシロアリや雨水が侵入してしまう被害が発生してしまう危険性があると言われています。

しかし、一体成型ベタ基礎では一度きりの打設で土間床部分から立上り部分まで一体化するため隙間が発生せず、強度が上がることが期待できます。

一体成型ベタ基礎の主なメリット

隙間が生まれにくい
土間床部分と立上り部分を分けずに一体化しているので、継ぎ目(ジョイント)が発生しません。その結果、雨水やシロアリが入り込む経路となる“すき間”を大幅に減らせます。

強度が高い
連続的に流し込むことで隙間がなくなるということで、コンクリート同士がしっかり結合し一体的な強度を発揮します。

一体成型ベタ基礎には、粘度の高い高性能な生コンクリートが必要不可欠

一体成型ベタ基礎を行うためには、一度に流し込んだコンクリートが型枠から流れ出さないだけの適度な粘性と強度を持つ生コンクリートが必要です。

強度の低い粗悪なコンクリートの場合は、水分量が多く“シャバシャバ”の状態ですので、一度に打設した際に型枠の隙間からコンクリートが流出してしまう恐れがあり、十分な施工ができなくなります。それでも一般的なベタ基礎のように土間床部分と立上り部分を工程で分ける場合は施工可能ですが、その代わりに継ぎ目の防水処理補強工事が必要になります。

一方で、一体成型ベタ基礎では、あらかじめ高性能なコンクリートを使用して隙間のない基礎を作り上げるため、こうした手間やリスクが最初から大幅に軽減されるのです。

まとめ

基礎は、家の荷重を支える“土台”であり、その出来栄えが住まいの安全性や寿命に直結します。特に、床下環境においては湿気やシロアリの被害が大きな問題となりがちですが、一体成型ベタ基礎を採用することで、これらのリスクを最初から防ぐことが可能です。一度のコンクリート打設によって継ぎ目を排除し、丈夫で長持ちする基礎を作り上げられるのが、この工法の大きな強みといえます。

「家族が何世代にもわたって安心して暮らせる家を建てたい」という方にとって、基礎の工法選びは非常に重要なテーマです。基礎の役割や種類について正しく理解し、さらに一体成型ベタ基礎がどのようなメリットをもたらすのかを知ることで、“これから先もずっと快適で安全な家づくり”につながるはずです。

それでは次回もお楽しみに。

このブログを書いた人

木場本 圭司
木場本 圭司

設計(構造・温熱環境)・各種申請・現場監理 / 一級建築士

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