
こんにちは、木場本圭司です。
普段は住宅の構造、断熱、気密など、性能に係る部分の設計を担当しております。
このブログでは、当社せこ住研の建てる住宅の構造についてのシリーズとして解説していこうと思いますので、これから家づくりを進めていきたい方にぜひ参考にしていただきたいです。
前回の④「基礎に施工する気密パッキン」編に続いて、⑤「壁や床には構造用合板は使いません」編です。
はじめに──「作業床」としての構造用合板

このような模様の構造用合板は、原木から大根の桂むきの要領で薄い単板をつくり、その薄い板を接着剤で何層にも貼り合わせて強度を高めた建築材料です。
現場では施工中の仮床に便利なため当社でも使用していますが、多くの住宅でそのまま壁や床の下地材として使われています。
しかし私たちは、完成後に見えなくなる部分こそ室内空気に大きな影響を及ぼすと考え、室内には一切使用しません。
シックハウスと日本の規制の甘さ

構造用合板に用いられる接着剤にはホルムアルデヒドなどの揮発性化学物質が含まれており、シックハウス症候群の大きな原因となることが広く知られています。
2003年に建築基準法で規制が設けられましたが、日本の基準値は欧米諸国と比べてはるかに緩く、多くの住宅会社は「国の基準をクリアしているから安全」と説明して合板を大量に使い続けているのが実態です。※単純に安く仕入れられるからというのも大きな理由です。ホームセンターでも簡単に手に入れることができます。
その結果、いまも化学物質に苦しむ人が後を絶ちません。
室内下地に無垢材を採用する理由
私たちが構造用合板を室内に使わないのは、健康被害を未然に防ぐためだけではありません。
無垢材では接着剤を使わないため経年劣化が少なく、将来の貼り替えや補修の頻度も抑えられます。
当社でも外部の屋根下地などでは構造用合板を適材適所で用いますが、生活空間に直結する壁や床の下地には一切採用しないというのが基本方針です。
床下構造へのこだわり
前置きが長くなってしまいましたが、床下の構造に関しても太い材で構成しています。1階部分であれば、どこにピアノを置いてもらっても大丈夫な造りになります。
また、材料を桧とヒバに限定して、一体成型ベタ基礎と組み合わせることによって、建築基準法より厳しい基準の住宅性能評価の劣化対策の最高等級を薬剤を使用せずにクリアしています。
まとめ-健康と強さを両立する家づくり-
下地材に無垢材を選ぶことで室内の化学物質を削減し、同時に長期にわたる構造強度と耐久性も確保できるようになってます。
国の基準に頼るだけでなく、素材選びから設計・施工まで一貫して厳格な基準を設けることが、家族の健康と住まいの資産価値を守る第一歩だと私たちは考えています。
次回は、せこ住研の「窓」へのこだわりについてです。どうぞお楽しみに!
このブログを書いた人
