
こんにちは、木場本圭司です。
普段は住宅の構造、断熱、気密など、性能に係る部分の設計を担当しております。
このブログでは、当社せこ住研の建てる住宅の構造についてのシリーズとして解説していこうと思いますので、これから家づくりを進めていきたい方にぜひ参考にしていただきたいです。
前回の⑤「壁や床には構造用合板は使いません」編に続いて、⑥「窓が家の寿命を左右する」編です。
日本の住宅でアルミサッシが当たり前に使われている理由
窓は壁や屋根と同じく断熱性能を左右する要所です。したがって、断熱や気密性能を高めていきたいなら窓にもこだわるべきだと考えていますが、日本の住宅では当たり前のようにアルミサッシが未だに使われています。
高度経済成長期に集合住宅ブームを経て一戸建てのマイホームブームが起こり、建具職人が作る木製建具では需要の多さに供給が追いつけない状態が起こってしまったので、鉄筋コンクリートの集合住宅などで使われていたスチールサッシやアルミサッシを住宅に使いだしたのが始まりです。
建具職人が作る木製建具と比べると完成品を取り付けるだけなので工事は早く、工場で大量生産が可能なので単価が安く、釘やビスで固定するだけなので簡単に作業が終了。「早く安く簡単」に出来るので爆発的に広まり、アルミサッシが当たり前の存在になり現在に至ります。
アルミサッシが使われているのは日本だけ?!
日本の木造住宅では、当たり前の様にアルミサッシが使用されていますが、明確な問題点があります。それは、金属製のアルミサッシではサッシ枠がベタベタに結露して、その水分によって接している柱や壁、クロスなどが腐ってしまう原因になるためです。これにより、知らず知らずのうちに家の寿命を削っていってしまうのです。
百年以上の風雨に耐えてきた古民家が使っていた木製建具を、アルミサッシに付け替えた途端に数年でその周りの柱などが傷んでしまったという事例があるほどです。

一方、北米・北欧など寒冷地では、早くから結露問題が認識され、木製や樹脂サッシが採用されてきました。木製や樹脂サッシであればフレームが室温に近い温度を保つため結露が起こりにくいだけでなく、室内の冷暖房効率も上がります。
夏と冬の気温差が大きい日本。にも関わらずいまだにアルミサッシが使われている建物も多く、こうした動きに出遅れていると感じています。近年ではアルミサッシよりも高性能ということを謳っている「アルミ樹脂複合サッシ」というものも出てきており大手ハウスメーカーを中心に使われていますが、こちらも製品の種類によって結露しやすさは依然として問題視されています。
せこ住研の家が樹脂サッシを標準採用する理由
せこ住研の家では30年以上も前から、家の寿命を長く保つために、アルゴンガスを密封した低放射断熱複層ガラスの木製サッシや樹脂サッシを標準としています。結露が発生しにくい窓にし、柱や土台を乾いた状態に維持することで高い耐久性を維持。さらに光熱費などの日々のランニングコストを抑えることにも繋がります。
せっかく高気密高断熱にこだわったとしても、窓の性能が低かったらその効果は大きく薄れてしまいますので、ぜひ窓にもこだわって家を建てていただきたいと思います。
次回は耐力壁について解説しますので、どうぞご期待ください。
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