9/6,7伊勢での見学会の御礼と、最近話題の省エネ基準の話

2025/09/11

完成見学会、たくさんのご参加ありがとうございました!

9/6,7 伊勢市で行った完成見学会では、今回もたくさんのご来場をいただき、誠にありがとうございました。
玄関に入った瞬間、お客様から「いい香り!」「木の香り!」といった声が次々とあがり、思わず深呼吸をされる光景は、私たちにとっても嬉しい見慣れた光景になっています。(笑)

一方で、他メーカーの見学会やモデルハウスでは「木の香りがしなかった」「家具屋さんの匂いに近い」とお聞きすることも多く、自然素材の心地よさを実感していただけるのは、私たちの家づくりの強みだと感じています。

見学会では木の家づくりはもちろん、性能についてもよく質問されましたので、最近話題の「省エネ基準」について少しお話したいと思います。


省エネ基準義務化とその背景

今年4月から、省エネ基準の適合が義務化されました。
日本ではヒートショックによる死亡者数が交通事故の死者数を大きく上回るという信じられないような現実があり、エネルギー事情を考えても、省エネ基準の義務化は必然的な流れといえます。

基準を満たすためには住宅の「気密・断熱性能」を高める必要がありますが、デザインやローコストを優先してきた会社の中には「技術的に難しい」「コスト的に厳しい」といった声も少なくありません。


性能不足が招くリスク

気密・断熱性能を十分に理解しないまま、数字を合わせるだけで基準を満たそうとすると、壁体内結露やカビ・ダニの繁殖を招く恐れがあります。これは室内空気環境の悪化や、構造体の腐食による耐震性低下といった深刻な問題につながりかねません。

つまり、省エネ基準は「数字をクリアすること」が目的ではなく、「安心して長く快適に暮らせる住まいを実現すること」が本質なのです。


シックハウスの危険性

もうひとつ気がかりなのが、シックハウス症候群の問題です。
一時期はマスメディアで大きく取り上げられていましたが、建築基準法が改正され、F☆☆☆☆(エフフォースター)など国が定める基準値以下の建材を使っていても、シックハウス症候群を発症するケースは依然として報告されています。

代表的な例が、東京にある大手ゼネコンが手がけた「議員宿舎」です。シックハウス法に関わった立法機関の関係者までもが発症したといわれており、決して笑いごとではありません。

省エネ基準を満たす住宅は、義務化以前よりも高い気密性能を求められます。つまり、換気や化学物質への配慮が不足すれば、かえってシックハウス症候群を発症するリスクが高まるのです。


本当に安心できる家づくりとは

シックハウスを防ぐためには、省エネ性能や断熱性能だけでなく、建材に含まれる化学物質の種類や濃度基準の見直しも必要です。欧米ではより厳しい基準が設けられていますが、日本で同水準に引き上げるのはさまざまな事情から難しいとも言われています。

だからこそ、私たちは「自然素材を使うこと」「空気環境を大切にすること」を重視しています。木の香りに包まれて深呼吸したくなる住まいは、心地よさだけでなく、ご家族の健康や安心につながっていくのです。


まとめ

完成見学会で感じていただいた木の香りは、自然素材と正しい性能設計があってこそ生まれるものです。省エネ基準が義務化された今だからこそ、「数字を満たすための家」ではなく、「暮らす人が健康で安心できる家」を追求していきたいと思います。

このブログを書いた人

木場本 圭司
木場本 圭司

設計(構造・温熱環境)・各種申請・現場監理 / 一級建築士

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